“複雑系”の前提には、「個々がそれぞれルールをもっている」という基本的な考え方があります。そこで、コンピュータのなかに、それぞれがそれぞれのルールをもって行動する“エージェント”という個をつくってみます。エージェントはそれぞれ異なる能力をもち、食料を探して食べ、交配・出産し、それぞれが規定された代謝機能に基づいて死ぬという、人間の一生を再現するのです。するとそこには“人工社会”とでも言うべき世界ができあがります。そのなかで、たとえば病気の感染が起きたり、エージェント相互間に信用取引が生まれたり、創造主である私たちすら予測のつかない事象が引き起こされたりもします。過去の社会科学と大きく異なるのは、ここ。時間の概念を含んでいること。つまり時の進行による現象の変化を前提にしていることです。 |
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こうした人工社会の考え方をベースにすると、ある条件下で人間社会はどういう事象を引き起こすのかというシミュレーションを、限りなく現実に近い形で行うことができます。それが私たちの開発した『マルチエージェント・シミュレータ』。シミュレーションの内容を自由にカスタマイズすることができるシステムです。 |
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複雑系によるシミュレーション分析は、日本ではまだ例が少ないのですが、コンサルティング大国アメリカでは、もはや常識となりつつあります。彼らは個々の人間の意思決定プロセスを知ることこそが、ビジネスでも、政治でも、社会でも、あらゆる現象の根元であることに気づいているのでしょう。そして、少し先の日本でもこうした複雑系シミュレーションが当たり前の世界になっていくと思われます。もちろん、リードするのは私たちです。
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