インターフェイスと実装が厳格に区分されたライブラリパッケージに従うライブラリには、以下のように標準的なセクションを持ったドキュメンテーションを使います。それぞれの目的と内容を簡単に説明しましょう。
利用ガイド. ライブラリをチュートリアル風に紹介します。初心者が必要とする最も一般的な使い方に焦点を合わせ、ほとんどの説明が段階を追って詳しくなるように、例を示しながら説明します。ライブラリの主要な機能を概説することを目的としており、リファレンススタイルを完全に説明する意図はありません。
上級利用ガイド. 利用ガイドに続き、ライブラリの重要な機能をすべて紹介します。上級ユーザが標準で組み込まれている機能をカスタマイズしたり、拡張するのに必要な事項もここで説明します。また、普段の基本的な使用を発展させた特別な使用を目的とした例を提供しますが、利用するのはライブラリフレームワークに組み込まれた機能です。高度な機能をこのガイドで取り上げることで、上述の利用ガイドをシンプルにしています。
インターフェイスリファレンス. ライブラリのすべての機能を、完全かつ簡潔にまとめています。ライブラリサービスの定義を分かりやすく説明しており、Unixの"man page"の役割を果たします。チュートリアル的な紹介はまったく、あるいはほとんどありません。拡張例は含みませんが、仕様の説明に必要な場合はその断片だけを紹介します。
サブクラス化リファレンス. ライブラリを実装するクラスからサブクラス化した新しいクラスを記述するためのルールをまとめます。ライブラリは、その型に定義された振る舞いの範囲を実装するために、複数のクラスを複雑に組み合わせて使用することもあります。したがって、ライブラリにあるクラスは、自動的にはユーザが定義したクラスのスーパークラスとしては利用できません。各ライブラリで、どのクラスがスーパークラスとして使用できるか、そして、これらのクラスからサブクラス化するときはどのような規則に従わなければならないかを説明します。
実装に関する注意. ライブラリの型が実装されるクラスの構造を説明します。実装の現状をまとめ、未完成な場合は将来の作業項目をリストします。実装のソースコードを読む人に最も役立つ方法で、実装の概要と高レベルの構造を紹介します。また、関連する活動やサポートする活動へのリファレンスに加え、考慮すべきトレードオフにも言及することがあります。