Appendix E. GNUライブラリ一般共有ライセンス

E.1. ライセンス本文

  GNU LIBRARY GENERAL PUBLIC LICENSE (GNUライブラリ一般共有ライセンス)
       Version 2, June 1991

 Copyright (C) 1991 Free Software Foundation, Inc.
                    675 Mass Ave, Cambridge, MA 02139, USA
 本ライセンス文書の複写および逐語的複写物の配布を許可する。ただし、内容の変更は認めない。

[この文書は初版のライブラリ一般共有ライセンスだが、通常の一般共有ライセンスのバージョンと合わせるためにVersion 2とした。]

    前文

一般にソフトウェアのライセンスは、ユーザに対して共有や変更の自由を禁止することを目的としている。これとは反対に、GNU一般共有ライセンスは、すべてのユーザにフリーソフトウェアの共有や変更の自由を保証すること、つまりフリーソフトウェアが、そのすべてのユーザに対してそれらの自由を与えることを保証する規約である。

このライブラリ一般共有ライセンスは、特に指定したFree Software Foundationのソフトウェアに適用され、また、その他のライブラリであっても、そのソフトウェアの作成者が本ライセンスの使用を決定した場合は適用される。したがって、あなたは、あなたのライブラリにも本ライセンスを適用することができる。

我々がフリーソフトウェアに言及するとき、それは無料のソフトウェアでなく、自由な状態(freedom)にあるソフトウェアを指している。我々の一般共有ライセンスの目的は、ソフトウェアの複写物の配布(希望があれば配布サービスの対価の請求)を自由に行えること、ソースコードを受領すること、あるいはソースコードの受領を望んだ場合に受領できること、ソフトウェアを変更し、あるいは新しいフリープログラム内でそれを部分的に使用できること、という3つの権利を確かめることにあり、以上の権利を有していることをあなたに確かに知らしめるようにデザインされている。

あなたの権利を保護するためには、あなたの権利を否定したり権利を破棄するよう求めることを誰もが禁じられるように制限しなければならない。しかしそれを言い換えれば、あなたがライブラリの複写物を配布または変更するとき、これらの制限はあなたに課される義務となる。

たとえば、もしあなたがそのようなライブラリの複写物を配布するのであれば、それが無料か有料かに関わらず、あなたはあなた自身が有するすべての権利を受領者に与えなければならない。つまりあなたは、受領者もまたソースコードを受領、取得できることを保証しなければならない。あなたがあるプログラムをライブラリとともにリンクしていれば、あなたは受領者にすべてのオブジェクトファイルを提供し、受領者がライブラリを変更して再コンパイルした後にそのプログラムを再リンクできるようにしなければならない。さらにあなたは、受領者にこれらの条件を提示してその権利を知らせなければならない。

あなたの権利は、次の2段階で保護される。まず、(1)ライブラリの著作権が保護され、次に、(2)本ライセンスが提供されることで、あなたはライブラリの複製、配布、変更について法的許可が与えられる。

また、各配布者を保護するために、我々はこのフリーライブラリが無保証であると誰もが理解していることを確認したい。第三者がライブラリを変更し、それが配布された場合は、その第三者に起因する問題がオリジナルの作成者の評価へ一切影響しないように、受領者は手元に受け取ったライブラリはオリジナルのそれでないということを知ってもらいたい。

最後に、フリープログラムは常にソフトウェア特許に起因する危険性をはらんでいる。我々は、フリーソフトウェアを配布する企業が、個々に特許を取得し、そのプログラムを事実上財産権の主張し得るソフトウェアに変える危険を回避したい。そのためには、我々がこれまで明確にしてきたように、いかなる特許権も、自由に使用できるライセンスを与えるか、あるいはライセンスをまったく与えないか、そのどちらかしか方法はない。

いくつかのライブラリを含み、ほとんどのGNUソフトウェアは、ユーティリティプログラム用にデザインされた通常のGNU一般共有ライセンスで保護される。一方、このGNUライブラリ一般共有ライセンスは、特定の指定されたライブラリにのみ適用される。本ライセンスは通常のライセンスとはまったく別なので、略すことなくすべてを確実に読み、そこに記載されたいかなる内容も、通常のライセンスと同じであろうと想定してはならない。

我々がいくつかのライブラリに別の共有ライセンスを設けているのは、あるプログラムを変更や追加するという行為と、単にそれを使用するという行為の間で我々が通常になしている区別を、それらのライブラリが不明瞭にするためである。ライブラリを変更せずにプログラムにリンクすることは、ある意味では単にそのライブラリを使用することであり、ユーティリティプログラムやアプリケーションプログラムを実行することと類似している。しかし、文字通りに法的解釈をすれば、ライブラリがリンクされた実行可能ファイルは、1つの結合した生産成果、つまりオリジナルライブラリの派生物である。通常の一般共有ライセンスによれば、この実行可能ファイルはそのように見なされる。

この不明瞭な区別のため、通常の一般共有ライセンスをライブラリに適用していると、ライブラリを使用する開発者は少なく、事実上ソフトウェアの共有は促進されなかった。我々は条件の緩和によって共有が促進されるであろうという結論に達した。

しかし、非フリープログラムのリンクに制限を課さないことは、それらのプログラムのユーザから、そのライブラリ自身の自由な状態がもたらす恩恵をすべて奪うことである。このライブラリ一般共有ライセンスが意図しているのは、非フリープログラムの開発者がフリーライブラリを使用することを認めつつ、その一方で、あなたがそのようなプログラムのユーザとして、それらのプログラムに含まれるフリーライブラリを変更する自由を保護することである(ヘッダファイルの変更に関しては、我々はまだこれを実現する方法が分かっていない。しかし、ライブラリの実際の機能の変更に関してはすでに実現している)。我々は、これがフリーライブラリのより早い開発につながることを望んでいる。

複製、配布、変更に関する厳密な条件を以下に述べる。"ライブラリをベースにした生産成果"と"ライブラリを使用した生産成果"の違いには、厳密な注意を払わなければならない。後者が単にライブラリを一緒に使っただけの生産成果であるのに対し、前者はライブラリから派生したコードを含んでいる。

ライブラリに対しては、この特別なライセンスではなく、通常の一般共有ライセンスで保護できることに注意すること。

  複製、配布、変更に関するGNUライブラリ一般共有ライセンスの条件

  0. 本ライセンス同意書は、このライブラリ一般共有ライセンス("本ライセンス"と呼ぶ)の条件に従って配布されるように著作権保持者あるいは他の認可された当事者が通告したすべてのソフトウェアライブラリに適用される。各ライセンス保持者は"あなた"と表現する。

"ライブラリ"とは、(そのライブラリの関数やデータのいくつかを使用する)アプリケーションプログラムとリンクして実行可能ファイルを形成できる、利便性のために用意されたソフトウェアの機能やデータの集合体を指す。

以下、"ライブラリ"とは、これらの条件に従って配布されてきたあらゆるそのようなソフトウェアライブラリあるいは生産成果を示す。"ライブラリをベースにした生産成果"とは、"ライブラリ"もしくは著作権法に従った派生的なあらゆる生産成果を示す。つまり、生産成果は、逐語的あるいは部分的変更を施して他の言語に変換されたライブラリまたはその一部を含む成果物、あるいは変更が施されずに直接的に他の言語に変換されたライブラリまたはその一部を含む成果物を指す(以下、"変更"という用語は無制限にこれらの変更を含む)。

ある生産成果に対する"ソースコード"とは、それを変更する際に利用されるその生産成果の形式を指す。ライブラリの全体ソースコードは、そのライブラリに含まれるすべてのモジュールのすべてのソースコードだけでなく、関連するあらゆるインターフェイス定義ファイル、そのライブラリのコンパイルとインストールの制御に使用されるスクリプトを指す。

複製、配布、変更以外の行為は、本ライセンスでは対象としない。すなわち適用範囲外である。ライブラリを使ったプログラムの実行という行為は制限されず、そのようなプログラムからの出力は、(それを記述するためのツールにそのライブラリが利用されているかは関係なく)その内容がライブラリをベースにした生産成果をなすときにのみ対象となる。それが対象となるか否かは、そのライブラリの動作およびそのライブラリを使ったプログラムの動作に依存する。 
  
  1. あなたが適切な著作権の通告と保証の放棄を、各複写物ごとに明白かつ適切に表示し、本ライセンスや無保証に関するすべての表現を変えず、ライブラリとともに本ライセンスの複写を配布する限り、あなたはライブラリの全体ソースコードを受け取った後に、媒体に関わらず、その逐語的複写物を複製、配布しても構わない。

あなたは、複写物の譲渡という物質的行動に対して料金を課してもよいし、料金と引き換えに保証を提供することも任意である。

  2. 以下の規約をすべて満たすという条件で、上述のようなライブラリをベースにした生産成果の形成、つまりライブラリまたはライブラリの一部に対する1つあるいは複数の複写物に変更を加え、上記の第1条に従ってそのような変更や生産成果を複製し、配布できる。

    a) 変更がなされた生産成果は、それ自身ソフトウェアライブラリでなければならない。

    b) あなたは変更したファイルに、変更した事実とその日付を明示しなければならない。

    c) あなたは本ライセンスの条件に従い、すべての第三者に対して無償でその生産成果全体のライセンスを与えなければならない。

    d) 変更されたライブラリ内のあるファシリティの参照先が、そのファシリティが呼び出されるときに渡される引数でなく、そのファシリティを使うアプリケーションプログラムが提供する関数やデータテーブルになっている場合、あなたは、あるアプリケーションがそのような関数やテーブルを供給しないようなときでも、依然としてファシリティが動作し、ファシリティの目的のどの部分も意味を持ち続けることを保証するように、誠実に努力しなければならない。

    (たとえば、ライブラリの関数が平方根の計算をする場合、その関数はアプリケーションからは独立してまったく十分に定義されているという目的を持つ。したがって、アプリケーションが提供しこの関数が利用する関数あるいはテーブルはすべてオプショナルであるということ、つまり、アプリケーションが関数やデータテーブルを供給しなくとも、平方根関数はなお平方根を計算することを第2項は要求している)

これらの要件は変更された生産成果全体に適用される。もし、その生産成果の識別可能な部分がライブラリから派生したものでなく、独立し、分離した生産成果であると正当に認められるなら、あなたがそれらを分離した生産成果として配布するとき、それらの部分には本ライセンスとその条件を適用しない。しかし、ライブラリをベースにした生産成果である全体の一部として、あなたがその部分を配布する場合には、配布物全体が本ライセンスの条件を満たさなければならない。他のライセンス保持者に対する許可はライブラリ全体に及び、したがって、どの部分もその作成者に依存するものではない。

このように、本条は専らあなたが記述した生産成果に対して権利を要求したり、あなたの権利を争うことを意図するものではない。むしろその意図は、ライブラリをベースにした派生的または集合的生産成果の配布を管理する権利を行使することにある。

加えて、ある記憶媒体あるいは配布媒体上で、ライブラリをベースにしない生産成果とライブラリ(あるいはそのライブラリをベースにした生産成果)を単に同梱しただけのものは、本ライセンスの及ぶところではない。

  3. あなたはライブラリのある複写物に、本ライセンスではなく通常のGNU一般共有ライセンスの条件を適用することができる。そのためには、本ライセンスを指している通告を、すべて通常のGNU一般共有ライセンスVersion 2を指すように改めなければならない(通常のGNU一般共有ライセンスにVersion 2より新しいバージョンが発行されていれば、希望に応じてVersion 2をその新バージョンに代えて指定することができる)。これらの通告でその他の変更は認められない。

ある複写物にいったんこの変更がなされると、その複写物については撤回できない。したがって、その複写物から作成される続く複写物や派生的な生産成果は、すべて通常のGNU一般共有ライセンスが適用される。

この選択は、あなたがライブラリのコードの一部をライブラリでないプログラムに複写したいときに有効である。

  4. あなたは第1条、第2条を満たす範囲で、ライブラリ(または第2条に従ったライブラリの一部またはライブラリからの派生物)を、オブジェクトコードまたは実行可能な形式で複製、配布することができる。ただし、第1条、第2条の条件に従って、ソフトウェアの交換に一般的に使用される媒体上で配布される、それに完全に対応した機械読み込み可能なソースコードを伴わなければならない。

オブジェクトコードの配布が、指定した場所から複写するためのアクセスを提供することでなされる場合、同じ場所からソースコードを複写できるように同等のアクセスを提供すれば、たとえ第三者がオブジェクトコードに加えてそのソースを複写するように強制されていなくとも、ソースコードの配布要件を満たすものとする。

  5. ライブラリの一部の派生物をまったく含まないものの、ライブラリとともにコンパイルまたはリンクすることによって、ライブラリと一緒に動作するように設計されたプログラムのことを、"ライブラリを使用した生産成果"と呼ぶ。そのような分離状態にある生産成果はライブラリの派生的な生産成果ではなく、したがって本ライセンスの適用範囲外である。

しかし、"ライブラリを使用した生産成果"とライブラリをリンクすれば、"ライブラリを使用した生産成果"でなく、ライブラリの派生物(ライブラリの一部が含まれるため)である実行可能ファイルを作成することになる。したがって、その実行可能ファイルは本ライセンスによって保護される。そのような実行可能ファイルの配布に関する条件については第6条に示す。

"ライブラリを使用した生産成果"が、ライブラリの一部であるヘッダファイルのマテリアルを使っているとき、たとえソースコード自体がライブラリの派生的生産成果でなくても、その生産成果のオブジェクトコードはライブラリの派生的生産成果となる場合がある。これに当てはまるか否かは、その生産成果がライブラリなしでリンクできる場合、あるいはその生産成果がそれ自体ライブラリである場合、特に重要である。これが真となる境界は、法的に正確には定義されない。

そのようなオブジェクトファイルが、数値パラメータ、データ構造のレイアウトやアクセサ、(長さが10行以下の)小さいマクロやインライン関数だけを使用する場合は、そのオブジェクトファイルが法的に派生的な生産成果であるかに関わらずその使用は制限されない(このオブジェクトコードとライブラリの一部を含む実行可能ファイルは第6条に従うことになる)。

それ以外の場合は、生産成果がライブラリの派生物であれば、あなたは第6条の条件に従ってその生産成果のオブジェクトコードを配布することができる。その生産成果を含んだいかなる実行可能ファイルもまた、ライブラリ自身と直接的にリンクしているか否かに関わらず、第6条に従うことになる。

  6. 上条の例外として、あなたは"ライブラリを使用した生産成果"とライブラリをコンパイルまたはリンクして、ライブラリの一部を含む生産成果を作成し、あなたが選択した条件に従ってその生産成果を配布することもできる。ただしその条件では、顧客自身が利用するためにその生産成果を変更することを認め、その変更をデバッグするためのリバースエンジニアリングも認めなければならない。

あなたはその生産成果のそれぞれの複写物に、その中にライブラリが使われているという通告と、ライブラリの使用は本ライセンスに保護されるという通告を明白に示さなければならない。また、本ライセンスの複写も提供しなくてはならない。その生産成果の実行中に著作権の通告が表示されるのであれば、その中にはライブラリの著作権の通告だけでなく、ユーザを本ライセンスの複写に導くリファレンスを含めなければならない。また、あなたは以下のいずれかをなさなければならない。

    a) 生産成果(上記の第1条と第2条の条件に従って配布されなければならない)の中で使用されたすべての変更点を含み、ライブラリに完全に対応する機械読み込み可能なソースコードをその生産成果に伴う。さらに、その生産成果がライブラリとリンクした実行可能ファイルである場合は、オブジェクトコードやソースコード、あるいはその両方といった、完全な機械読み込み可能な"ライブラリを使用した生産成果"をその生産成果に伴うこととし、ユーザがライブラリを変更して再リンクし、その変更したライブラリを含んだ実行可能ファイルを作成できるようにする(ユーザがライブラリの定義ファイルの内容を変更した場合、そのユーザは必ずしもアプリケーションを再コンパイルして変更された定義を使用できるわけではないと解釈される)。

    b) 少なくとも3年間有効の文書をそれに伴う。この文書では、この配布にかかるコスト以外に料金を課さないで、上記の第6条a項で指定されたマテリアルを同一のユーザに提供することを記す。

    c) 指定された場所から複写するためのアクセスを提供することで生産成果の配布をする場合は、同じ場所から上記の指定されたマテリアルを複写できるように同等のアクセスを提供する。

    d) ユーザがこれらのマテリアルの複写物をすでに受領したこと、あるいはあなたがこのユーザに複写物を送付したことを実証する。

実行可能ファイルの場合、必要な"ライブラリを使用した生産成果"の形式は、それから実行可能ファイルを再作成するのに必要なあらゆるデータとユーティリティプログラムを含んでいなければならない。しかし、特別な例外として、その実行可能ファイルを実行するオペレーティングシステムの主要なコンポーネント(コンパイラ、カーネルなど)とともに(ソースあるいはバイナリ形式で)通常提供されているコンポーネントについては、配布されるソースコードにそれらを含める必要はない。ただし、実行可能ファイルがそのコンポーネント自体を伴っている場合は、この限りでない。

この要件は、通常はオペレーティングシステムに伴われていない他の財産権付きのライブラリのライセンス制限を否定することになる可能性がある。そのような矛盾が生じた場合、あなたが配布する実行可能ファイルの中で、本ライセンスでいうライブラリと財産権付きのライブラリは一緒に利用できないことになる。

  7. あなたは単一のライブラリの中で、ライブラリをベースにした生産成果であるライブラリファシリティと、本ライセンスで保護されないライブラリファシリティとを並べて配置し、その結合したライブラリを配布することができる。ただし、他のライブラリファシリティのいずれかと、ライブラリをベースにした生産成果を単独で配布することが別に認められていなければならず、また、あなたは以下の2項をなさなければならない。

    a) 結合したライブラリに、いかなる他のライブラリファシリティとも結合していない、ライブラリをベースにした生産成果の複写を伴う。これは上条の条件に従って配布しなければならない。

    b) 結合したライブラリには、その結合したライブラリの一部はライブラリをベースにした生産成果であるという通告を加え、また、この結合したライブラリに伴われる結合していない同一生産成果の形式がどこに存在するかを明らかにした説明を加える。

  8. 本ライセンスで明らかに規定されない限り、あなたはライブラリの複製、変更、サブライセンス、リンク、配布をしてはならない。規定に従わないプログラムの複製、変更、サブライセンス、リンク、配布を試みることは無効な行為であり、その行為により、本ライセンスに基づくあなたの権利は自動的に失効する。ただし、本ライセンスに従ってあなたから複製や権利を受け取った第三者は、本ライセンスを遵守する限り失効しない。

  9. あなたは本ライセンスに署名をしていないので、これを受諾する必要はない。しかし、本ライセンス以外に、ライブラリやその派生的な生産成果の変更や配布を許可するものは存在しない。あなたが本ライセンスを承諾しなければ、これらの行為は法的に禁じられる。したがって、ライブラリ(またはライブラリをベースにしたあらゆる生産成果)の変更や配布をすることによって、あなたは、本ライセンスおよびライブラリやそれをベースにした生産成果の複製、配布、変更のすべての条件に対する受諾を示したことになる。

  10. あなたがこのライブラリ(またはライブラリをベースにした生産成果)を再配布する都度、その受領者は自動的に、これらの条件を前提としたライブラリの複製、配布、リンク、または変更の権利を、もとのライセンス保持者から受け取る。あなたは、受領者が与えられた権利を行使することに、さらなる制限を課してはならない。あなたは、第三者が本ライセンスを遵守することを強制する責任はない。

  11. 裁判所の判決、特許侵害の申し立て、あるいは(特許問題に限らず)その他何らかの理由により、あなたに、本ライセンスの条件に矛盾する条件が課せられても(裁判所の命令、協定など、手段に関わらず)、あなたのライセンスの条件を免れるものではない。あなたは、本ライセンスに基づく義務と、その他のあらゆる関連義務を同時に満たした上で配布することができないならば、一切このライブラリを配布してはならない。たとえば、あなたから直接、または間接に複製を受け取ったすべての人々に、ロイヤリティ無料のライブラリの再配布を認めないという特許権がある場合、ライブラリの配布をあきらめる以外に、その特許権と本ライセンスの両方を満たす手段は存在しない。

特別な状況に置かれ、本条のどこか一部が失効、あるいは遵守不能に陥った場合でも、本条の残りの条件は適用され、全体としての本条は他の状況に適用されるように意図されている。

本条の目的は、あなたに、特許権やその他の財産権の侵害、あるいはそれらの権利の合法性に関する議論を説くものではなく、本条の唯一の目的は、共有ライセンスの実行により実現する、フリーソフトウェアの配布システムの無欠性を保護することである。すでに大勢の人がこのシステムの一貫した適用を信頼し、このシステムを通じて配布される広範なソフトウェアに大きな貢献をしてきた。他のシステムを通じてソフトウェアを配布する意思は作成者や提供者に存するものであり、ライセンス保持者はその選択を強制することはできない。

本条の目的は、本ライセンスの他の部分の結論となるべき事柄を完全に明白にすることである。

  12. 特定の国で、ライブラリの配布や使用が特許によって、あるいは著作権保護を受けたインターフェイスによって制限される場合、本ライセンスに従ったライブラリを保有する原著作権者は、これらの国々を除外する地理的配布制限を明示し、除外国以外の国々の間でのみ配布を許可することができる。そのような場合、本ライセンスは、本ライセンスの本文の記載事項であるかのようにこの制限を包含する。

  13. Free Software Foundationは、本ライブラリ一般共有ライセンスの改訂版あるいは新版を、随時発行することができる。そのような新しいバージョンは、現在のバージョンと精神は類似するものの、新しい問題や事件を解決する詳細においては異なることもある。

すべてのバージョンには、その区分のためのバージョン番号を与える。ライブラリに本ライセンスのバージョンが、そのバージョンと"以後のすべてのバージョン"を適用するように指定されている場合、あなたは、そのバージョン、もしくはFree Software Foundationが発行したその後のバージョンのどれかを選択して、それに記載された条件に従わなければならない。ライブラリがライセンスバージョン番号を指定していない場合、あなたはFree Software Foundationが発行したどのバージョンを選択しても構わない。

  14. プログラムの一部と、配布条件に互換性のない他のフリープログラムを一体化したいときは、作成者にその許可を文書で求めなければならない。Free Software Foundationが著作権を所有するソフトウェアであれば、Free Software Foundationにそれを提出しなければならない。この件に関して、我々は例外的な扱いをする場合がある。我々の決定を導くのは、2つの目的、すなわちフリーソフトウェアのすべての派生物に対してその自由な状態を維持するという目的と、ソフトウェアの共有と再使用を広く促進するという目的である。

    無保証

  15. ライブラリは無料でライセンスされるため、関連法令に認められる範囲内で、ライブラリに対する一切の保証はない。ただし、著作権者や第三者が、表示の有無に関わらず、市場可能性や特定目的への適合性を含んだ、それら一切の保証を伴わないまま"あるがままの"ライブラリを提供しない場合は、これを除外する。ライブラリの品質と性能に関わるリスクは、すべてあなたに帰属することとする。ライブラリに瑕疵が認められた場合、必要な修理、訂正、あるいはそれに対処するすべての作業にかかる費用は、あなたが負担しなければならない。

  16. 適用法令の要求、あるいは書面による同意がない限り、著作権者、およびライブラリの変更や再配布を行う上記の許諾を受けた第三者は、ライブラリの使用や使用不能によって発生した損害(データの消滅、正確性の欠落、あなたや第三者が被った損失、他のソフトウェアとの連携の失敗、その他の損害)について、その損害が、一般的、特異的、偶発的、必然的であるかを問わず、あなたに対する法的義務は一切負わないこととする。これは、そのような損害の可能性を、著作権者や第三者があらかじめ忠告されていた場合にも適用される。

     以上、本ライセンスの条件

     付録: これらの条件をあなたの新しいライブラリに適用する方法

あなたが新しいライブラリを開発し、公共に対して最大限の利用機会を提供したいのなら、そのライブラリを、誰もが再配布し、変更できるフリーソフトウェアにすることを我々は推奨する。これらの条件に従って(あるいは通常の一般共有ライセンスの条件に従って)再配布を許可することで、あなたはそれが可能となる。

これらの条件を適用するためには、ライブラリに以下の通告を加えなければならない。各ソースファイルの冒頭にそれらを添付するのが、保証の除外を伝える最も安全かつ効果的な方法である。少なくとも、各ファイルには"copyright"の行とその全文が存在する場所を指し示すべきである。

    <ライブラリ名と簡単な機能説明>
    Copyright (C) <年> <作成者名>

    このライブラリはフリーソフトウェアであり、あなたはFree Software Foundationが発行したGNUライブラリ一般共有ライセンスのVersion 2あるいはそれ以降のバージョン(あなたの選択による)に記載された条件に基づいて、このライブラリを再配布したり、変更することができます。

    このライブラリは、有用であることを期待して配布されていますが、市場可能性や特定目的への適合性の暗示的な保証をはじめとした一切の保証はなされません。詳細については、GNUライブラリ一般共有ライセンスを参照してください。

    あなたは、このライブラリとともに、GNUライブラリ一般共有ライセンスの複写を受け取ったはずです。さもなければ、Free Software Foundation, Inc.、675 Mass Ave, Cambridge, MA 02139, USAまで書面で問い合わせてください。

また、あなたに接触する方法を示すため、電子メールと郵便の宛先を付け加えてください。

あなたは、必要に応じて、あなたの雇用者(あなたが職業プログラマであるとき)や学校から、そのライブラリに対する"著作権放棄"の署名を入手すべきである。以下にその例を示す。名前は変更すること。

  ここに、Yoyodyne, Inc.は、James Random Hackerが記述した`Frob'ライブラリ(ノブを引っ張るライブラリ)の著作権をすべて放棄する。

  <TY COONの署名>, 1 April 1990
  Ty Coon, President of Vice

これだけのことである!