Appendix F. GNU一般共有ライセンス

F.1. ライセンス本文

      GNU GENERAL PUBLIC LICENSE (GNU一般共有ライセンス)
                         Version 2, June 1991

     Copyright (C) 1989, 1991 Free Software Foundation, Inc.
     59 Temple Place - Suite 330, Boston, MA 02111-1307, USA
     
     本ライセンス文書の複写および逐語的複写物の配布を許可する。ただし、内容の変更は認めない。

前文
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一般にソフトウェアのライセンスは、ユーザに対して共有や変更の自由を禁止することを目的としている。これとは反対に、GNU一般共有ライセンスは、すべてのユーザにフリーソフトウェアの共有や変更の自由を保証すること、つまりソフトウェアが、そのすべてのユーザに対してそれらの自由を与えることを保証する規約である。この一般共有ライセンスは、Free Software Foundationのほぼすべてのソフトウェアに適用され、また、その他のプログラムであっても、そのソフトウェアの作成者が本ライセンスに付した場合は適用される(Free Software Foundationのソフトウェアの中には、GNUライブラリ一般共有ライセンスによって保護されているものもある)。したがって、あなたは、あなたのプログラムにも本ライセンスを適用することができる。

我々がフリーソフトウェアに言及するとき、それは無料のソフトウェアでなく、自由な状態(freedom)にあるソフトウェアを指している。我々の一般共有ライセンスの目的は、ソフトウェアの複写物の配布(希望があれば配布サービスの対価の請求)を自由に行えること、ソースコードを受領すること、あるいはソースコードの受領を望んだ場合に受領できること、ソフトウェアを変更し、あるいは新しいフリープログラム内でそれを部分的に使用できること、という3つの権利を確かめることにあり、本ライセンスは以上の権利を有していることをあなたに確かに知らしめるようにデザインされている。

あなたの権利を保護するためには、あなたの権利を否定したり権利を破棄するよう求めることを誰もが禁じられるように制限しなければならない。しかしそれを言い換えれば、あなたがフリーソフトウェアの複写物を配布または変更するとき、これらの制限はあなたに課される義務となる。

たとえば、もしあなたがそのようなプログラムの複写物を配布するのであれば、それが無料か有料かに関わらず、あなたはあなた自身が有するすべての権利を受領者に与えなければならない。つまりあなたは、受領者もまたソースコードを受領、取得できることを認めなければならず、受領者にこれらの条件を提示してその権利を知らせなければならない。

あなたの権利は次の2段階で保護される。まず、(1)ソフトウェアの著作権が保護され、次に、(2)本ライセンスが提供されることで、あなたはソフトウェアの複製、配布、変更について法的許可が与えられる。

また、各作成者と我々を保護するために、我々はこのフリーソフトウェアが無保証であると誰もが理解していることを確認したい。第三者がソフトウェアを変更し、それが配布された場合は、その第三者に起因する問題がオリジナルの作成者の評価へ一切影響しないように、受領者は手元に受け取ったソフトウェアはオリジナルのそれでないということを知ってもらいたい。

最後に、フリープログラムは常にソフトウェア特許に起因する危険性をはらんでいる。我々は、フリープログラムの再配布者が個々に特許権を取得し、事実上プログラムを財産権の主張し得るものにする危険を回避したい。そのためには、我々がこれまで明確にしてきたように、いかなる特許権も、自由に使用できるライセンスを与えるか、あるいはライセンスをまったく与えないか、そのどちらかしか方法はない。

複製、配布、変更に関する厳密な条件を以下に述べる。

    複製、配布、変更に関する条件

  0. 本ライセンスは、この一般共有ライセンスの条件に従って配布されるように著作権保持者が通告したプログラムや生産成果すべてに適用される。以下、"プログラム"とはあらゆるそのようなプログラムや生産成果を示し、"プログラムをベースにした生産成果"とは、"プログラム"もしくは著作権法に従った派生的なあらゆる生産成果を示す。つまり、生産成果は、逐語的あるいは部分的変更を施して他の言語に変換されたプログラムまたはその一部を含む成果物、あるいは変更が施されずに他の言語に変換されたプログラムまたはその一部を含む成果物を指す(以下、"変更"という用語は無制限にこれらの変更を含む)。各ライセンス保持者は"あなた"と表現する。

     複製、配布、変更以外の行為は、本ライセンスでは対象としない。すなわち適用範囲外である。プログラムの実行という行為は制限されず、プログラムからの出力は、(プログラムの実行により作成されたかは別にして)その内容がプログラムをベースにした生産成果をなすときにのみ対象となる。それが対象となるか否かは、そのプログラムの動作に依存する。

  1. あなたが適切な著作権の通告と保証の放棄を、各複写物ごとに明白かつ適切に表示し、本ライセンスや無保証に関するすべての表現を変えず、プログラムの他のどの受領者に対してもプログラムとともに本ライセンスの複写を引き渡す限り、あなたはプログラムのソースコードを受け取った後に、媒体に関わらず、その逐語的複写物を複製、配布しても構わない。

     あなたは、複写物の譲渡という物質的行動に対して料金を課してもよいし、料金と引き換えに保証を提供することも任意である。

  2. 以下の規約をすべて満たすという条件で、上述のようなプログラムをベースにした生産成果の形成、つまりプログラムまたはプログラムの一部に対する1つあるいは複数の複写物に変更を加え、上記の第1条に従ってそのような変更や生産成果を複製し、配布できる。

       a. あなたは変更したファイルに、変更した事実とその日付を明示しなければならない。

       b. あなたは、プログラムの全部または一部を含み、あるいはそれから派生した生産成果を配布もしくは出版するとき、本ライセンスの条件に従い、すべての第三者に対して無償でその生産成果全体のライセンスを与えなければならない。

       c. 変更されたプログラムが、その実行時コマンドを通常の対話式に読むのであれば、最も普通の手段でそのような対話式の使用を実行し始めたときに、適切な著作権の表示、無保証(または、あなたによる保証)の通告、ユーザがこのような条件下でプログラムの再配布ができることの通告を含み、またユーザが本ライセンスの複写を見る方法を、印字または表示しなければならない(例外:プログラム自体が対話式であるものの、そのような通告を通常印字しない場合、プログラムに基づくあなたの生産成果はこれらの通告を印字する必要はない)。

     これらの要件は変更された生産成果全体に適用される。もし、その生産成果の識別可能な部分がプログラムから派生したものでなく、独立し、分離した生産成果であると正当に認められるなら、あなたがそれらを分離した生産成果として配布する際に、それらの部分には本ライセンスとその条件を適用しない。しかし、プログラムをベースにした生産成果である全体の一部として、あなたがその部分を配布する場合には、配布物全体が本ライセンスの条件を満たさなければならない。他のライセンス保持者に対する許可はプログラム全体に及び、したがって、どの部分もその作成者に依存するものではない。

     このように、本条は専らあなたが記述した生産成果に対して権利を要求したり、あなたの権利を争うことを意図するものではない。むしろその意図は、プログラムをベースにした派生的または集合的生産成果の配布を管理する権利を行使することにある。

     加えて、ある記憶媒体あるいは配布媒体上で、プログラムをベースにしない生産成果とプログラム(あるいはそのプログラムをベースにした生産成果)を単に同梱しただけのものは、本ライセンスの及ぶところではない。

  3. あなたは以下の1つを行うことを条件に、第1条、第2条を満たす範囲で、プログラム(または第2条の定義によるプログラムをベースにした生産成果)を、オブジェクトコード、または実行可能な形式で複製、配布することができる。

       a. それに完全に対応する機械読み込み可能なソースコードを伴う。ただし、そのソースコードは、第1条、第2条の条件に従って、ソフトウェアの交換に一般的に使用される媒体上で配布しなければならない。

       b. 少なくとも3年間有効の文書をそれに伴う。この文書では、ソースの物質的な配布にかかるあなたのコスト以外に料金を課さないで、それに完全に対応するソースコードの機械読み込み可能なコピーを第三者に提供することとし、その提供は、第1条、第2条の条件の下、ソフトウェアの交換に一般的に使用される媒体上で配布しなければならないことを記す。

       c. 対応するソースコードの配布の求めに関して、あなたが受け取った情報をそれに伴う(商用目的でない配布である場合、およびあなたが本条b項に従って、オブジェクトコードまたは実行可能な形式でプログラムを受け取った場合にのみ、この選択が認められる)。

     生産成果のソースコードとは、それを変更する際に利用される形式を指す。実行可能な生産成果について、完全に対応するソースコードは、それに含まれるすべてのモジュールに対するすべてのソースコードと、それに対応するインターフェイス定義ファイル、さらに、コンパイルと、実行可能ファイルのコンパイルとインストールをコントロールするのに使用されるスクリプトを意味する。しかし、特別な例外として、その実行可能ファイルを実行するオペレーティングシステムの主要なコンポーネント(コンパイラ、カーネルなど)とともに(ソースあるいはバイナリ形式で)通常提供されているコンポーネントについては、配布されるソースコードにそれらを含める必要はない。ただし、実行可能ファイルがそのコンポーネント自体を伴っている場合は、この限りでない。

     実行可能ファイルまたはオブジェクトコードの配布が、指定した場所から複写するためのアクセスを提供することでなされる場合、同じ場所からソースコードを複写できるように同等のアクセスを提供すれば、たとえ第三者がオブジェクトコードに加えてそのソースを複写するように強制されていなくとも、それはソースコードの配布とみなされる。

  4. 本ライセンスで明らかに規定されない限り、あなたはプログラムの複製、変更、サブライセンス、配布をしてはならない。規定に従わないプログラムの複製、変更、サブライセンス、配布を試みることは無効な行為であり、その行為により、本ライセンスに基づくあなたの権利は自動的に失効する。ただし、本ライセンスに従ってあなたから複製や権利を受け取った第三者は、本ライセンスを遵守する限り失効しない。

  5. あなたは本ライセンスに署名をしていないので、これを受諾する必要はない。しかし、本ライセンス以外に、プログラムやその派生的な生産成果の変更や配布を許可するものは存在しない。あなたが本ライセンスを承諾しなければ、これらの行為は法的に禁じられる。したがって、プログラム(またはプログラムをベースにしたあらゆる生産成果)の変更や配布をすることによって、あなたは、本ライセンスおよびプログラムやそれをベースにした生産成果の複製、配布、変更のすべての条件に対する受諾を示したことになる。

  6. あなたがこのプログラム(またはプログラムをベースにした生産成果)を再配布する都度、その受領者は自動的に、これらの条件を前提としたプログラムの複製、配布、または変更の権利を、もとのライセンス保持者から受け取る。あなたは、受領者が与えられた権利を行使することに、さらなる制限を課してはならない。あなたは、第三者が本ライセンスを遵守することを強制する責任はない。

  7. 裁判所の判決、特許侵害の申し立て、あるいは(特許問題に限らず)その他何らかの理由により、あなたに、本ライセンスの条件に矛盾する条件が課せられても(裁判所の命令、協定など、手段に関わらず)、あなたのライセンスの条件を免れるものではない。あなたは、本ライセンスに基づく義務と、その他のあらゆる関連義務を同時に満たした上で配布することができないならば、一切このプログラムを配布してはならない。たとえば、あなたから直接、または間接に複製を受け取ったすべての人々に、ロイヤリティ無料のプログラムの再配布を認めないという特許権がある場合、プログラムの配布をあきらめる以外に、その特許権と本ライセンスの両方を満たす手段は存在しない。

     特別な状況に置かれ、本条のどこか一部が失効、あるいは遵守不能に陥った場合でも、本条の残りの条件は適用され、全体としての本条は他の状況に適用されるように意図されている。

     本条の目的は、あなたに、特許権やその他の財産権の侵害、あるいはそれらの権利の合法性に関する議論を説くものではなく、本条の唯一の目的は、共有ライセンスの実行により実現する、フリーソフトウェアの配布システムの無欠性を保護することである。すでに大勢の人がこのシステムの一貫した適用を信頼し、このシステムを通じて配布される広範なソフトウェアに大きな貢献をしてきた。他のシステムを通じてソフトウェアを配布する意思は作成者や提供者に存するものであり、ライセンス保持者はその選択を強制することはできない。

     本条の目的は、本ライセンスの他の部分の結論となるべき事柄を完全に明白にすることである。

  8. 特定の国で、プログラムの配布や使用が特許によって、あるいは著作権保護を受けたインターフェイスによって制限される場合、本ライセンスに従ったプログラムを保有する原著作権者は、これらの国々を除外する地理的配布制限を明示し、除外国以外の国々の間でのみ配布を許可することができる。そのような場合、本ライセンスは、本ライセンスの本文の記載事項であるかのようにこの制限を包含する。

  9. Free Software Foundationは、本一般共有ライセンスの改訂版あるいは新版を、随時発行することができる。そのような新しいバージョンは、現在のバージョンと精神は類似するものの、新しい問題や事件を解決する詳細においては異なることもある。

     すべてのバージョンには、その区分のためのバージョン番号を与える。プログラムに本ライセンスのバージョンが、そのバージョンと"以後のすべてのバージョン"を適用するように指定されている場合、あなたは、そのバージョン、もしくはFree Software Foundationが発行したその後のバージョンのどれかを選択して、それに記載された条件に従わなければならない。プログラムが本ライセンスのバージョン番号を指定していない場合、あなたはFree Software Foundationが発行したどのバージョンを選択しても構わない。

 10. プログラムの一部と、配布条件の異なる他のフリープログラムを一体化したいときは、作成者にその許可を文書で求めなければならない。Free Software Foundationが著作権を所有するソフトウェアであれば、Free Software Foundationにそれを提出しなければならない。この件に関して、我々は例外的な扱いをする場合がある。我々の決定を導くのは、2つの目的、すなわちフリーソフトウェアのすべての派生物に対してその自由な状態を維持するという目的と、ソフトウェアの共有と再使用を広く促進するという目的である。

                                無保証

 11. プログラムは無料でライセンスされるため、関連法令に認められる範囲内で、プログラムに対する一切の保証はない。ただし、著作権者や第三者が、表示の有無に関わらず、市場可能性や特定目的への適合性を含んだ、それら一切の保証を伴わないまま"あるがままの"プログラムを提供しない場合は、これを除外する。プログラムの品質と性能に関わるリスクは、すべてあなたに帰属することとする。プログラムに瑕疵が認められた場合、必要な修理、訂正、あるいはそれに対処するすべての作業にかかる費用は、あなたが負担しなければならない。

 12. 適用法令の要求、あるいは書面による同意がない限り、著作権者、およびプログラムの変更や再配布を行う上記の許諾を受けた第三者は、プログラムの使用や使用不能によって発生した損害(データの消滅、正確性の欠落、あなたや第三者が被った損失、他のプログラムとの連携の失敗、その他の損害)について、その損害が、一般的、特異的、偶発的、必然的であるかを問わず、あなたに対する法的義務は一切負わないこととする。これは、そのような損害の可能性を、著作権者や第三者があらかじめ忠告されていた場合にも適用される。

                      以上、本ライセンスの条件

これらの条件をあなたの新しいプログラムに適用する方法
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あなたが新しいプログラムを開発し、公共に対して最大限の利用機会を提供したいのなら、その最も効果的な方法は、そのプログラムを、これらの条件のもとに誰でも再配布し、変更できるフリーソフトウェアにすることである。

そのためには、プログラムに以下の通告を加えなければならない。各ソースファイルの冒頭にそれらを添付するのが、保証の除外を伝える最も安全かつ効果的な方法である。少なくとも、各ファイルには"copyright"の行とその全文が存在する場所を指し示すべきである。

     プログラム名とその動作の簡単な説明を示す行
     Copyright (C) 19YY  作成者名
     
     このプログラムはフリーソフトウェアであり、あなたはFree Software Foundationが発行したGNU一般共有ライセンスのVersion 2あるいはそれ以降のバージョン(あなたの選択による)に記載された条件に基づいて、このプログラムを再配布したり、変更することができます。
     
     このプログラムは、有用であることを期待して配布されていますが、市場可能性や特定目的への適合性の暗示的な保証をはじめとした一切の保証はなされません。詳細については、GNU一般共有ライセンスを参照してください。
     
     あなたは、このプログラムとともに、GNU一般共有ライセンスの複写を受け取ったはずです。さもなければ、Free Software Foundation, Inc.、59 Temple Place - Suite 330, Boston, MA 02111-1307, USAまで書面で問い合わせてください。

   また、あなたに接触する方法を示すため、電子メールと郵便の宛先を付け加えてください。

   あなたは、そのプログラムが対話式であるなら、対話モードで起動したときに以下のような簡潔な通告を出力させなければならない。

     Gnomovision version 69, Copyright (C) 19YY 作成者名
     Gnomovisionは一切の保証がなされません。詳細を表示するには`show w'と入力してください。
     これはフリーソフトウェアなので、あなたは一定の条件に従った再配布が認められます。詳細を表示するには`show c'と入力してください。

`show w'や`show c'は、GNU一般共有ライセンスの該当する部分を表示する仮のコマンドである。したがって、あなたは`show w'や`show c'とは別のコマンドを使うことができ、それは、マウスクリックやメニューアイテムというように、あなたのプログラムに合わせた何であっても構わない。

あなたは、必要に応じて、あなたの雇用者(あなたが職業プログラマであるとき)や学校から、そのプログラムに対する"著作権放棄"の署名を入手すべきである。以下にその例を示す。名前は変更すること。

     ここに、Yoyodyne, Inc.は、James Hackerが記述した"Gnomovision"プログラム(コンパイラに道筋をつけるプログラム)の著作権をすべて放棄する。
     
     TY COONの署名, 1 April 1989
     Ty Coon, President of Vice

この一般共有ライセンスでは、あなたのプログラムを、財産権を主張し得るプログラムに組み込むことは禁止している。あなたのプログラムがサブルーチンライブラリであるなら、あなたは、財産権を主張し得るアプリケーションとそのライブラリのリンクを許可することが、より有効であると考えるかもしれない。その場合は、本ライセンスではなく、GNUライブラリ一般共有ライセンスを使用すること。